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鋼の心 ~Eisen Herz~ 第12話:夜の戦場(その1) 旅行二日目、正午。 季州館付近の山中。 「リーナ、リーナ。こっちこっち」 「…なに、美空?」 ジャブジャブと川の中を、美空の下へ向かうリーナ。 「…そこ、急に深い」 「―――ガボボッ!?」 美空の指差した地点で急に沈むリーナ。 他の場所は精々リーナの胸ぐらいの深さだが、そこだけはリーナの足が付かない深さであった。 「……リーナ、おぼれるから注意してって言いたかったんだけど……?」 「そっちを、ガホッ!! 先に、言いなさい!! ゲホッ!!」 「………」 川で戯れる美空とリーナを見ながら祐一はノートパソコンを立ち上げる。 「……amami.co.jp、っと」 巡回先一覧から、天海神姫センターのBBSを呼び出し接続。 天海神姫センターBBS ◆化物見たいな神姫について No12012 2036 07/28 22 21 アレって噂の要塞さん? ◆丑寅の基本スペックについて語るスレ No12013 2036 08/01 22 39 Dr・ヨイリー ◆バトロイの上位ランカーへの対抗策を考えるスレ No12014 2036 08/02 23 19 名無しさん ◆バトロイで使える神姫パーツ考察 No12015 2036 08/03 00 21 バルチャー ◆集え最強神姫を目差す兵よ No12016 2036 08/03 02 11 名無しさん ◆8月15日の夏の大会について No12017 2036 08/05 08 43 ネームレス・ワン 表示されるスレッド一覧を検索で篩いにかける。 「検索ワード、『幽霊』&『乱入』……、っと」 天海神姫センターBBS ◆ハンドメイド(完全自作)神姫晒し上げコーナー No 1131 2032 01/22 21 15 神姫改造人 ◆これって不具合ですか? No 2532 2033 08/02 22 43 名無しさん ◆夏の怪談。神姫センター編 No 4432 2034 08/07 02 51 名無しさん ◆KONAMIへの要望スレ No 4563 2034 10/03 01 26 ユーリ99 ◆バトロイの確認済み上位ランカーリスト No 9724 2035 12/27 00 17 もにか☆もにか ◆幽霊目撃報告 No10008 2036 02/03 08 43 名無しさん 「これか…?」 →◆幽霊目撃報告 ◆幽霊目撃報告 [001]名無しさん 2036 02/03 08 43 47 ID InuKoLovE 一時期、天海のバトロイを騒がせていた幽霊神姫ですが、 最近は目撃報告を聞きません。 だれか目撃した人はいませんか? [022]名無しさん 2036 02/03 11 22 34 ID IofiyUHuf そもそも幽霊って実在するの? [023]名無しさん 2036 02/03 21 10 30 ID vIbaMonSt するよ。ウチの白子も幽霊にやられた [024]名無しさん 2036 02/04 00 17 50 ID SiaDisARa 022~023 自作自演乙。 バトロイで白子なんかつかえねぇよ!! 嘘つくなボケ [025]名無しさん 2036 02/04 01 00 02 ID RyOUsiKih 確かに白子は使えないが皆無ではない。 俺も白子でバトロイに出てる。 ……あまり勝てんが……。 あと、ID違うんで自作自演違うと思う。 [026]名無しさん 2036 02/04 22 27 44 ID kiIloKiiL 白子って使えないんですか? [027]スレぬし 2036 02/05 00 07 35 ID InuKoLovE バトロイではイマイチ。 対戦ではかなり強い。 飛行のために軽装備になりやすく、複数の敵を倒しきれないのがネック。 レーザー持つと他の神姫からの集中砲火で瞬殺されるし。 [028]スレぬし 2036 02/05 00 22 15 ID InuKoLovE 話を戻せば幽霊ってのは、数年前の夏ごろから出始めた乱入神姫の事。 バトロイ中に乱入してきて優勢に戦っている神姫を倒す黒い神姫。 天海のバトロイでしか報告されていないが、 神姫センター側でも原因が掴めていないらしく数年出続けた。 でも最近は見ないので対応したんだろう。小波乙。 [029]名無しさん 2036 02/05 01 16 25 ID SiaDisARa 028 単にハッカーが飽きたんじゃね? [030]名無しさん 2036 02/05 01 19 55 ID SiaDisARa 029 天海のバトロイはリアルバトル。 ハッカー関係無ぇ [031]名無しさん 2036 02/05 02 45 32 ID bOtOmUzGj 029~030 荒らすんならせめてID変えろ。 でもあれって、本当になんだったんだろう? システム上、他の神姫がフィールド内に入るのは不可能だよね? [032]スレぬし 2036 02/05 21 27 32 ID InuKoLovE 色んな説が出たが結局犯人は不明。 [033]名無しさん 2036 02/06 01 00 02 ID RyOUsiKih 幽霊って何タイプの神姫なの? [034]Dr・ヨイリー 2036 02/06 11 54 01 ID imRockmAn 上位ランカーの要塞さんが幽霊と交戦した時の画像データがあるのでUP。 【1185455590】 [035]名無しさん 2036 02/06 21 45 46 ID bOtOmUzGj 034 GJ!! 見た感じはアーンヴァルに見えるが細部が違うっぽい。 もっと鮮明な画像ぷりーず。 [036]Dr・ヨイリー 2036 02/06 23 00 10 ID imRockmAn あとはこれぐらいしか…。 【1245698465】 【1523448735】 [037]ネームレス・ワン 2036 02/07 02 35 22 ID kOtatunEko 034 嘘だろ、要塞さんの弾幕に頭からつこんでってるぜ? 俺の種子は5秒も持たなかったのに…。 [038]名無しさん 2036 02/07 21 40 23 ID bOtOmUzGj 幽霊、要塞さんより強いのか。 本気で化物だな。 違法神姫なのは間違いないが、これだけ強ければもっと有名でもいいはずだけど? [039]ネームレス・ワン 2036 02/07 22 45 53 ID kOtatunEko 俺が知る限り要塞さんに対抗できる神姫は今の所、 「化け猫」「ボマー」「ネメシス」「ガンマン」だけ。 だけどどの神姫も戦法からして該当しない。 [040]名無しさん 2036 02/08 03 00 25 ID fFeiTOisG それぞれ、猫子、兎子、黒子、黒子だっけ? 一度だけだけどネメシスには勝った 化け猫は無理。アレは異常。 [041]名無しさん 2036 02/08 21 21 22 ID taNaGAsuk ネメシスは2戦目以降が鬼。 再戦で要塞さんフルぼっこにしてるの観た。 そして化け猫は確かに無理。 [042]名無しさん 2036 02/08 23 46 16 ID saGatuuGj 人気だな、要塞さん。 所で要塞さんの機種は何なの? [043]Dr・ヨイリー 2036 02/12 20 36 10 ID imRockmAn 040 ガンマンは種子。 042 要塞さんは機種不明。 中身が見えないぐらい重装甲だから。 [044]ネームレス・ワン 2036 03/01 20 45 43 ID kOtatunEko 未確認だけど、幽霊の出現には条件があるみたいだって怪談スレにあったな。 確か一定以上の戦績じゃないと出ないんだっけ? [045]名無しさん 2036 03/02 21 20 27 ID taNaGAsuk 案外KONAMIの隠しイベントだったりして。 [046]Dr・ヨイリー 2036 03/02 23 37 17 ID imRockmAn ずっとKONAMIはこの件についてノーコメントだった。 否定は出来ないが、多分違う。 [047]削除されました ---- --/-- -- -- -- ID --------- 書き込みは削除されました [048]削除されました ---- --/-- -- -- -- ID --------- 書き込みは削除されました [049]削除されました ---- --/-- -- -- -- ID --------- 書き込みは削除されました [050]ネームレス・ワン 2036 03/19 21 05 40 ID kOtatunEko 業者UZEEEEEEEEEEE。 まあともかく。 現在までの所で幽霊について分かっているのは、 機動性特化型の近接戦闘タイプ。 武器は刀二本と投げナイフ? 鎧は黒衣の軽量装甲一式 防御は恐らく紙、…ってか被弾しないし。 バトロイ上位ランカー2位の要塞さんよりも強い。 白子に似ているが機種不明。 出現時間は放課後タイム以外が多いが放課後タイムでも報告あり。 ……こんな所か? [050]名無しさん 2036 03/20 17 04 10 ID bOkSyoSin 放課後タイムって何ですか? 打ち間違え? [051]ネームレス・ワン 2036 03/21 21 22 24 ID kOtatunEko 学校が放課後になる4時くらいから6時くらいまでのバトロイを指す造語。 中学、高校くらいのオーナーが来るため稼ぎ時ってや稼ぎ時。 [052]スレぬし 2036 04/22 21 27 33 ID InuKoLovE 幽霊のデータ 追記。 最初に騒がれ始めたのが33年の夏ごろ。 少しずつ遭遇報告が少なくなってここ2年くらいは殆ど0。 一年ぐらい前の春に少し出たらしい。 [053]名無しさん 2036 04/23 23 42 12 ID saGatuuGj そういえば、今でも春休みには少し出るよな。 今年の春休みに出たの見たぜ。 その時の画像持ってるんでりんごる。 【2467272313】 [054]名無しさん 2036 04/24 00 04 14 ID bOkSyoSin 053 りんごる? [055]ネームレス・ワン 2036 04/25 21 32 24 ID kOtatunEko りんごる→アップル→UPる。だろ? ギャグは下らんが動画データはGJ。 [056]名無しさん 2036 04/26 02 20 37 ID taNaGAsuk 053 これって視点主は誰? [057]Dr・ヨイリー 2036 04/28 22 32 27 ID imRockmAn 春の新入り。 機種は兎子。 東京の方のバトロイの常連だったらしい。 [058]名無しさん 2036 05/01 21 13 32 ID SeeDkIraI この兎。 早速ネメシスに喰われてるの見た。 アームで一撃。 その時の画像あっぷる(笑)。 【2556782282】 [059]ネームレス・ワン 2036 05/02 01 37 28 ID kOtatunEko 058 ガトリング改造しているみたいだけど流石に黒子は固いな。 でもこのバトル。ネメシスとの初戦だろ? 初戦のネメシスに負けるって事は、それほど強くないな。 この兎。ランク的には30位前後と見た。 [060]名無しさん 2036 05/02 02 44 57 ID SeeDkIraI 因みにその後の画像 【2556782291】 [061]Dr・ヨイリー 2036 05/04 20 02 07 ID imRockmAn うわ、ネメシスが一撃死!? 誰だ、この白子? [062]名無しさん 2036 05/05 13 52 15 ID saGatuuGj 白子で刀使いって、アホじゃねえの? このマスター。 [063]ネームレス・ワン 2036 05/05 01 25 39 ID kOtatunEko 強ければ無問題だろう? それよりこの白子の詳細希望。 [064]場外データより転載 2036 05/06 19 22 55 ID toODoMAnQ 因みに 060の画像撮影してた種子の末路。 【2558912439】 [065]名無しさん 2036 05/06 23 55 55 ID saGatuuGj 064 種子の装甲切れる刀って何だよ。 改造武器? [066]名無しさん 2036 05/07 17 22 31 ID bOkSyoSin 見た目はノーマルの為虎天翼。 [067]Dr・ヨイリー 2036 05/09 23 27 24 ID imRockmAn 066 ×為虎天翼 ○為虎添翼 [068]名無しさん 2036 05/10 23 02 30 ID doTtohAku そういえば、要塞さん以外の上位ランカーは幽霊と戦った事あるのか? [069]もにか☆もにか 2036 05/11 19 32 00 ID toODoMAnQ 068 とりあえず倉庫漁った結果。上位10名分。 1st 化け猫。(猫子) …該当データなし。 2nd 要塞さん。(??) …三戦・三敗 3rd ボマー。(兎子) …二戦・二敗。 4th ネメシス。(黒子) …該当データなし。 5th 黒犬子。(犬子) …一戦・一敗。 6th 腕黒子。(黒子) …二戦・二敗。 7th 死神犬子。(犬子) …該当データなし。 8th ガンマン。(種子) …一戦・一敗。 9th ランサー(騎士子) …一戦・一敗。 10th ビューティーM1号。(兎子) …該当データなし。 実名出すと消されるんで、名前は通称。 間違いあったら修正よろ。 [070]スレぬし 2036 05/12 21 00 33 ID InuKoLovE 069 乙。 これ見る限り。 上位ランカーでも必ず遭遇するって訳じゃないのな。 比較的、放課後タイムに来ない人の方が遭遇しやすいみたい。 [071]ネームレス・ワン 2036 05/13 01 25 39 ID kOtatunEko こうしてみると黒子、犬子、兎子は強いな。 [072]Dr・ヨイリー 2036 05/13 02 07 54 ID imRockmAn 071 確かに。 能力がバトロイ向きなのと、初期の神姫なので 戦績が高い奴が多いのが理由ポイ。 …にしても幽霊無敵だな。 [073]もにか☆もにか 2036 05/13 19 32 00 ID toODoMAnQ 070 いえいえ。 ウチの花子が頑張って漁ってくれた結果です。 バトルは弱いけどこういう方面は強いんで。 072 確かに幽霊強いですよね。 回避力が凄すぎて、そもそも攻撃が当たらないんで。 [074]ネームレス・ワン 2036 05/13 23 21 09 ID kOtatunEko それにしても、ガンマンっていつのまにか8位に転落してたのな。 あと。5、7は見たこと無い。 [075]Dr・ヨイリー 2036 05/14 22 00 51 ID imRockmAn ガンマンの中の人は最近放課後タイムに来ない。 多分大学にでも入ったと思われ…。 5、7も大学生なのか、放課後タイムには来ない人。 特に7は平日の昼間にしか来ないんで、 他の上位ランカーとあまり戦ってない。 だもんでマイナー。 [076]名無しさん 2036 05/20 08 43 47 ID pKkdfWKq MMS系出会い ひとりでさびしい思いをしない為にも 素敵な武装神姫がほしいですよね?あ なたに語りかけてくれるんですよ!! 普段だったら引き篭もりがちな「」っ しーだらけなところが神姫がいた日に はその後も楽しく妄想できたりね!! とりあえず損をする事は無いんで!い っちょ買ってみたら?ちなみに隣の白 い子が一番のオススメです!!!!! 「……この幽霊が、試作神姫……?」 祐一はBBSの検索を続けるが、それ以上のめぼしいデータは見当たらなかった。 「―――マスター?」 不意にすぐ傍でアイゼンの声。 「…どうしたの。アイゼン?」 「…何見てる?」 「大した物じゃないよ。ちょっと調べ物」 アイゼンは祐一の身体をよじ登り、肩に腰掛ける。 「……手伝う?」 「いや、…これ以上の情報は無いみたいだし―――」 だが、ネットに落ちていない情報がある可能性もある。 「―――そういえば、アイゼンは幽霊について知ってる?」 「…幽霊?」 「ああ。バトロイに乱入して来る黒い神姫の事」 「……知ってる」 祐一に向けて頷くアイゼン。 「……凄く強い。誰も勝てなかった」 「……もし、アイゼンが戦っても?」 当然、相手のデータを知った上で、だ。 「……多分無理。アレはマヤアよりもずっと強い」 アイゼンは、唯一再戦時の勝率が100%ではない、天海最強の神姫の名を上げる。 「……だから、最終的にはマスターがアイツの攻略法を思いつくかどうか…」 「…なるほど」 要塞さん。ボマーなどの上位ランカーは、アイゼンにとってもかなりの強敵だ。 特に要塞さんと呼ばれる神姫は、濃密な弾幕を張り敵を寄せ付けない戦法で戦う。 その要塞さんが接近戦で敗れたと言う事は、あの弾幕を掻い潜ったと言う事だ。 「……本気で化物だな、それは……」 祐一は再び水辺に眼を向けた。 美空と戯れるリーナ。 彼女が昨日の夜に言った言葉。 『―――その幽霊が、MMSの開発者の神姫で、オリジナルのCSCを持っていると言ったら?』 MMSの開発者の神姫。 ゆえに最強であり、ゆえにオリジナルのCSCを持つ。 そして、開発者の神姫ならば、何らかの方法でバトルロイヤルに乱入する事もできるかもしれない。 「確かに納得は出来るけど……」 それをどうするべきなのか。 祐一には分からなかった。 「……天海神姫センターのBBSですね。スレッドは……」 「幽霊関連のでしょ?」 「……あ、そうみたいです…」 雅の言葉通り、セタの目は彼方の祐一が持つノートパソコンの画面に、その二文字を捉えた。 「……リーナの仕業ね…。祐一を焚きつけて何をしたいのかしら…?」 雅は、リーナが“何も知らない事を”まだ知らない。 「……ボクには、リーナさんが悪い人だとは思えないですけど?」 「……」 セタの言葉の持つ説得力は否定しなければならない。 雅にとって、祐一を害するものは敵でしかないからだ。 「……どちらにせよ、リーナ・ベルウッドがオリジナルを探しているのは確かでしょう?」 雅の根拠は、村上が突き止めたレライナによる神姫センター自体へのハッキング行為。 ネットから神姫センターのコンピューターに侵入を試みたレライナが何を目的としていたのかはわかって居ない。 幽霊。 神姫センターに出現する謎の神姫。 黒衣に身を包み、二刀を武器にする。 …正体は不明。 神出鬼没で、出現に際しては何らかの法則があるらしい。 「……その正体が、村上君の見た一番最初の神姫だと言うのなら」 その神姫こそが、オリジナルのCSCを搭載した唯一の神姫。 既存品をコピーする事しかできないCSCの原型。 派生前の雛形。 もし、解析できれば…。 もし、新しいCSCのバリエーションを作れれば……。 もし、どの企業も作れない、CSCの新製品を作れれば……。 その技術は、武装神姫と言う事業そのものに多大な影響を及ぼせる。 「……だから、村上君が追うあの女も、そしてリーナ・ベルウッドも。そのオリジナル。即ち、天海の幽霊神姫を探している……」 遭遇し、倒せれば。 CSCの製法が手に入る。 だが、それだけならば雅には関係の無い話だ。 典雅の社長として、村上衛の復讐を手伝うついでに入手できたら。……とは思うが、それは血眼になって探すほどの物ではない。 「……だけど」 その幽霊が出現するのは天海の神姫センターのみであり。 その幽霊には出現条件が設定されており。 その出現条件を乱し、幽霊の出現を抑制したのが……。 「祐一が入れ込む女の子の神姫……。か……」 伊東美空のアーンヴァル。フェータ。 かつて開発者の一人であった芹沢九十九に送られた、12機の初期生産モデルの1機。 ……それが、オリジナルを入手する為の鍵であった。 「雅さん。センサーに反応です」 「…!!」 何気無くすれ違った村上の言葉に、瞬時に意識を切り替える雅。 時刻はもうじき夕暮れ。 現状に置いて、フェータと遭遇させるのだけは上策では無い。 「……っ」 雅は小さく呼吸をし、祐一たちを集めるべく歩き出した。 この時点における島田雅の失策は2つだけ。 自分の入手した情報が、“村上衛の恩師が芹沢九十九であった”という事から『偶然』もたらされたのだという事を失念している事。 即ち。 リーナ・ベルウッドの持つ情報を過大評価してしまい。 彼女の行動が幽霊の捜索を通り越し、入手へ向けて動いていると錯覚してしまっている事。 そして、芹沢九十九がフェータに施した仕掛けの“意味”を考えなかった事。 即ち……。 村上が追う眼帯の女の目的が、オリジナルCSCの入手であると“思ってしまっている”事だった。 …続く。 第12話:夜の戦場(その2)につづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る BBSの描写メンドクセー(←挨拶)。 いよいよストーリが動きます。 ここまではキャラ紹介みたいなものなので、とりあえずは現状の整理を……。 雅&村上の認識。 幽霊神姫を倒すと、オリジナルCSC(超貴重品)が手に入る。 現在幽霊と出会うには、その邪魔をしている(らしい)フェータを調べる必要が在る。 その仕掛けをしたのが一部で人気の芹沢じーちゃん。 リーナも眼帯さんもオリジナルを狙っているに違いない。 リーナ&祐一の認識。 幽霊神姫を倒すと、オリジナルCSC(神姫マニア垂涎の品)が手に入る。 出現には何か条件があるらしい。 神姫センター調べると何か分かるかも……。 祐一が協力してくれれば幽霊も倒せるわ(リーナ)。 特に興味ないんだけどどうしようかな…?(祐一)。 眼帯さんの認識。 全ての神姫を破壊するには幽霊が必要。 ただし、その方法では初期型12機は破壊できない。 11機までは破壊したので残りは1機。 それがフェータな上、幽霊の出現を邪魔しているのもフェータらしい。 フェータからデータを手に入れた上で壊し、フェータのデータを解析してアンチプログラムを作り、幽霊を開放して他の神姫を全て壊す。 最愛の人(CSCの開発者)がそれを望んでいるので、私が実行する。 美空の認識。 フェータは普通のアーンヴァル。 何か目の色とか違うけど気にしない。 何か髪の色が薄い気もするけど別にいいや。 浅葱の認識。 幽霊? なにそれ? ……いや、当初の予定ではレギュラーでは無かった、浅葱&マヤアペアが見事に浮いてます。 本来は本筋に絡まないんだけど、戦力的に必要だった(四姉妹とちゃんと戦える)&セタのペアとして猫子を出したかったのでレギュラーに……。 だもんで彼女らには本筋に絡む理由が祐一並にありません。 あと、祐一も実は戦う理由が無いです。 戦う理由の無い人が戦う理由。 それが祐一のテーマな物で……。 そしてもう一つのテーマが誤解。 特に雅の誤解っぷりが凄い事になってます。 他人に協力を求めるタイプでなく、自分で溜め込むタイプなので……。 他にも、とんでもない誤解をしている人がいたり……。 きちんとお話しましょう。がもう一つのテーマ。 ちなみにフェータには、幽霊騒ぎの一件に自分が絡んでいるという認識がありません。 眼帯さん側の理由と合わせて、その辺りをもっと描写したかったのですが、そちらは眼帯さんの名前が出た後に眼帯さんサイドとして書く予定……。 ……あと、眼帯さんの名前、ここまで引っ張っているけど、別に意味があったり、凄い名前と言うわけではなく、単に出す機会が無かっただけ。 最初に出しとけばよかったと後悔するALCでした。 小ネタ。 BBS[058]の動画は第一話の冒頭部分。
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第八話:実践姫 今、俺の目の前は真っ暗だ。声も聞こえて手足も動くが、周りは黒一色でどう動いたらいいのかさっぱりわからない。 そりゃそうだ。今は目隠しをして、擬似的な盲目をやっているのだから。 「そこを三歩進んで左よ!」 「違います。七歩直進です」 必死に頑張ろうと努力をしている蒼貴と紫貴はあべこべな指示を俺に飛ばしている。互いが互いよりも上手くやろうと頑張っているんだろうが、自動販売機にぶつかったり、階段を踏み外してこけたりする俺の身を考えていただきたい所だ。 が、全然止めようとしない。その執念をもう少し、いい方向に持っていってもらいたいが少々無理な相談そうだ。 正直、勘弁願いたい所なのだが、石火曰く、あと少しでゴールだと言う話らしいので我慢して、二人の指示を目以外の感覚を使いつつ、判断して進んでいる。 しかし、俺は目で大半の情報を把握しているのが普通の人間だ。そう上手く行くものじゃない。何とか転んだりぶつかったりしない様にするのは辛うじて伸ばした腕で周りの物を触れて感じ取り、すり足で慎重に動く事で階段の踏み外しを避けてはいるが、普通に目で見て歩く事の何倍もの手間がかかっている。 これを、輝を初めとする目の見えない人達は目が見えなくなったその日から今まで、そしてこれからも向き合っているのだから凄い。そうせざるを得なくなったのだからと言うのもあるにせよ、俺には敵いそうにない。 「はいっ。これでゴールだよ~。お疲れ様っ」 石火の言葉を聞いて俺はようやく目隠しを取った。少々、目を長く閉じすぎていたのか、直後は視界がぼやけて見え、ゆっくりと視界が戻っていく様な錯覚になってやっと周りがまともに見える様になった。 それで最初に目にしたのは…… 「もう! 蒼貴ったらあそこで私の指示と一緒のことを言ってくれてたらオーナーを自動販売機にぶつけずに済んだのよ!」 「紫貴だってオーナーに間違った指示を与えてしまったために階段から転ばせてしまったではないですか」 俺の両肩で口喧嘩になっていた蒼貴と紫貴だった。それはそれは熱い言い合いになっており、責任はどちらにあるかの擦り合いだった。 お互い、失敗したシーンを並べて相手がいかに責任が重大であるのかをアピールし、自分の方が、責任が軽いから結果的に叱られるのは相手であるという事を何とか成立させようと必死をこいている。 うるさい上にドロドロした言葉の応酬は俺の両耳にはあまりよろしくない。 堪えかねた俺は両肩の二人をつまみ上げ、俺の目の前に持っていった。そうすると両方共黙って、俺の顔色を伺い始める。 「お、オーナー?」 「えっと……何?」 「人の耳元で口喧嘩すんな! てめぇら二人で連帯責任だ! このバカ共が!!」 そんな様子をお構いなしに俺は怒りの雷を落とし、説教を始めた。 俺が体験で痛い目を見たのは蒼貴と紫貴両方の責任であり、二人が同時に違う指示を出してくれたおかげで俺は判断に困ってほとんど自力で進む羽目になった事を二人が反省するまで言ってやった。 それを見た石火は苦笑し、輝にその様子を伝えると彼は「雷親父って事?」とかぬかしやがった。俺はまだ二十代の大学生だという事は周りのイメージから消えているらしい。 そんな中で説教を四、五分した後、蒼貴と紫貴に耳元で必要以上に騒がない事を約束させると、輝に説教が終わったことを伝え、施設を一通り回る事にした。 「とても厳しいんだね……」 廊下を歩き始めて早々、輝は俺の説教についての感想を漏らした。 「ダメな事はダメだって叱ってやらねぇとならんのは人だろうが、神姫だろうが同じだろ」 「まぁ、違いは無いね」 それに対して俺はシンプルに返す。正直言ってそれは人であるか神姫であるか以前の話だ。ちゃんと育ててやるのがオーナーの務めってモノだろう。 ただ強いだけでは本当に強いとは言えず、力に溺れるだけのバカになってしまうだけだ。 「だからあんなに二人共キッチリとこなせちゃうとか? 紫貴の技術力の高さはおどろいちゃったよ~。イーダと言えば新しい機種だから私みたいなハイブリッドタイプでもない限り、まだまだ発展途上の子が多いんだけど、もうズバ抜けちゃってるよね」 「ちゃんと鍛えてやっているだけだ」 「それはちょっと違うな。イーダって結構、扱いにくい機種だから神姫自身が類い稀な才能を持っているか、オーナーがしっかりリードしてあげないと持ち味を活かし切るのは難しいんだ」 詰まる所、こういう事だ。イーダという神姫はオーナーの手腕を問われるタイプであり、その原因としては基本的に高飛車なお嬢様気取りをするために言う事を最初は聞いてくれず、キッチリ育て上げる計画を初期から立てにくく、加えて攻撃が大雑把な傾向にあるため、精密な攻撃には不向きであり、命中はからっきしだ。 それを補うための手段としては搭載しているCSCによって類稀な才能を得るか、逆の長所である攻撃力と回避力を使った戦術をオーナーがくみ上げるかと言う二択になる。 それを選び、修行を積む事で玄人向けの神姫に仕上がるのである。現にここ最近の有名な神姫の中でイーダタイプは多めだ。俺も有名な神姫が戦っているのを覗き見してみると、イーダタイプである事が結構あった。 「確かにね。性格の方も扱いにくいって話だったね~。お嬢様だから、さ。でも紫貴ってそれのかけらもないぐらいさっぱりした性格だよね」 「何か引っ掛かる気はするんですけど?」 「ははは。気のせい気のせいっ。話は戻るけど、何か紫貴ってイーダの定義から色々とズレてるよね」 「そりゃそうだ。イベント用の限定版だからな」 「へぇ。あのイベントのイーダって特別製だったんだ~。まぁ確かにイーダならストラダーレ仕様はあるし、今はリペイントによる派生は珍しくはないね」 「そういうこった」 石火に何か気取られた気がしたが、俺はそれを表向きの理由で何の事もなく返す。 俺の神姫である紫貴は、イーダはイーダでもその試作型のイーダプロトタイプである。人格ロジックは完全でなかったために代替AIとしてアークの性格が混ざっていたり、ボディが市販の物とは異なるカラーリングになっていたりするし、ボディの基礎性能が強化されて命中率を多少補われており、俺の戦術に柔軟に応えてくれている。 類まれな才能は既についていて、俺はそれに助けられているから何とか使いこなせているという訳だ。 「そっか。あ。アレを見て。目以外の他の訓練だよ」 会話をしている中で石火が案内先を見つけてそこを指した。俺達は彼女の言葉に従ってその先を見る。そこには先程の目の障害の他に耳が聞こえなかったり、言葉が喋れなかったりする人のための手話教室や点字教室を人と神姫が共に学んでいる様子が見えた。 「言語による意思疎通が神姫なら簡単か……」 「そ。いい時代になったもんだよね」 「ああ。なかなかいいテーマにもなりそうだ」 俺は手話や点字の様子を見ながら、輝達に自分が考えた神姫と言語の関係について語り始めた。 言葉による意思疎通……会話は人のコミュニケーションの中でも重要な部類に入る。それが失われる聴覚障害と言語障害の場合、片方あるいは両方の場合であったとしても神姫に手話を覚えさせ、障害者と一般人の間に立たせて会話と手話の変換の役割を担わせる事により、円滑なコミュニケーションを取らせる事が出来る。 神姫と犬との差で神姫の一番のアドバンテージは言葉を操れる事にある。会話という点では犬よりも伝えられる情報量が段違いに多く、この上ない活用法だ。 また、神姫に英語やフランス語といった別の言語を覚えさせれば、障害者に限らず一般人でも外国の人との会話での通訳に応用が可能そうでもある。自身が覚えるのにも神姫と会話して練習するという手段も使えるだろう。 それに現在、話者が少なく、言葉の消滅の危機に瀕している危機言語と呼ばれる事象がある。欧米ではその危機言語を保存するための研究を進めているのだが、なかなか進んでおらず、言葉として保存する手段も文章に残すのでは不十分だ。発音やイントネーションはどうしても肉声で喋る、それを録音する以外に保存する手段がない。 ならば、神姫にその言語をマスターさせて、『実際に話している何か』を残す事が出来るのならば、危機言語からの回避に繋がるのではないだろうか。神姫の寿命も長い。語り継いでいくには非常に好都合だろう。 こうなってくると神姫と言語の関係は考えがいろいろと広がってきていて、なかなか興味深いテーマの様に思えた。 「オーナーはそこまでお考えになられていたのですか……。さすがです……」 「確かに言語に関する全ての事に神姫は介入出来そうではあるわね。でも通訳さんとか職を失っちゃいそうね……」 手話教室を通り過ぎる辺りで紫貴は神姫の言語介入に関する危惧の一部を口にする。 「そうでもないさ。通訳する奴が人である事と神姫である事による差は少なからずある。一番の例を言えば神姫は小さいって事さ。会議とかマジな場所ではあんまり見栄えがよくないし、神姫嫌いな人だって少なからずいるだろうからな。受け入れられるにはまだまだ時間はかかるし、受け入れられても状況に応じて使い分けられるだろうさ」 「僕もそこまでは考えていなかったね……。尊は本当に頭がいいなぁ」 「雑学をいろいろと知っているだけだ」 「またまた~謙虚過ぎっしょ~。誤魔化していても滲み出てきちゃってません?」 「……気のせいだ。そういや、今どこへ向かってんだ?」 石火の茶々をかわしつつ、病院エリアを進んだ所で質問を輝に向ける。 「ああ。義肢の研究をしている場所だよ。神姫の四肢を応用して人の義肢を造ろうっていう研究がここでは行われているんだ」 「神姫を応用した義肢だって? 普通に人のサイズにスケールアップするだけじゃダメなのか?」 「その辺は直接話を聞けると思うから、聞いてみるといいよ。もうそろそろだしね」 そう言う頃に廊下の窓におかしなものがあるのが見えた。それは様々な外装が施されている人の四肢が置いてあったり、研究者が神姫の四肢を色々と分解したり、神姫を介して義肢を動かしている様子がそこにはあった。 どうやらここが義肢に関する研究をしているエリアであるらしい。 「ここが研究室だよ。さぁ、入ってみて。ここの博士なら尊の興味の持てる事が聞けると思うからさ」 扉に近づいた辺りで石火に勧められて、その研究室へと足を踏み入れてみる。そこには内装がむき出しの義肢をいじっている七三分けの髪型とメガネが特徴的な白衣の男がいた。 「ん? 見学者の人ですか?」 「ええ。この人の紹介で来ました」 「ああ、輝君か。珍しいですね。君が他の人を連れてくるなんて」 「神姫センターでトラブルがあって、その時に会ったんです」 「トラブル?」 「イリーガルがいたんです。何とか倒しましたけど……」 「そうですか。まぁ、その内、神姫センターで動きがあるはずです。それを待ちましょう」 会話の中でイリーガルという言葉を聞いた瞬間、白衣の男は一瞬だけ顔色を変え、元に戻すとすぐに返事を返す 「はい……」 「……ところでここは人の義肢に関する研究をしているんですよね? それはどういう理屈でそうなるんですか? 単に神姫の四肢をスケールアップするだけではそのまま使えないらしいのですが」 会話の中での違和感を覚えた俺は下手に続けていたら輝が情報を漏らしてしまいかねないと判断し、様子見のために義肢についての話に切り替えた。 「それは単純に人と機械を繋ぐ事にあるんですよ。脳から送られてくる電気信号をいかにして生体的なものを、機械的なものに変換するかというね」 簡単に言えば、人の中にある電気信号を送る神経と機械の義肢に備わる回路をどうやって繋げるかという話だ。昨今では義肢の技術も発達し、指を動かせる義手の開発が進んできているのだが、それは指の可動範囲を広げるために機械の部分が露出しており、外見的にはあまり良くない。 そこで神姫の腕をスケールアップして義手とすれば、その外見という重要な課題は一挙に解決できるという事をこの研究室では主張し、研究を重ねている訳だが、どうにもこの白衣の男の話では神姫と人の神経の伝わり方が違うという事が最大の難関ならしい。 詳しくそれを聞いてみると、それが原因で神姫の神経回路の伝わり方を人に合う様に作り変えない事には話にならず、被検体として神姫に人間サイズにスケールアップさせた神姫の腕を動かしてもらう事から始めて、人の神経との同調のための調整をしているらしい。 義肢そのものに関しては神姫の腕という下地があるため、一応設計が出来ているらしいが、コストがあまりにもかかるため、それの削減をするための研究もまた進行しているとの事だ。しかし、その研究のためには実際に作ってみない事には実験が出来ないため、この施設から出ている資金からやりくりもしていかないとならない。 そこで主のいなくなった神姫を引き取って、この施設における盲導プログラムを製作し、それを神姫にインストールし、盲導神姫を作り出す副業をする事で何とかやっているようだ。 「ざっと言えばこういうことになりますね。多少資金が厳しい所ですが、副業で安定して、回路の完成と義肢のコストダウンさえ成功すれば画期的な義肢が完成するって予定ですよ」 一通りの事を説明した白衣の男は先ほどの曇りが嘘の様に自分たちが未来になしえる計画を語った。 「なるほど。非常に参考になりますな。機械的な事はまだまだわからないですが、神姫の綺麗な義肢がもたらす可能性というのはなかなかいいものを感じますよ。そういえばその身寄りの無い神姫っていうのは引き取られるまではどうするので?」 「プログラムを仕込んで世話しておきますよ。まぁ、結構早く引き取ってくれる人が名乗り出てくれるのであまり苦ではないですね」 「それは何よりですね。その神姫達はどこかで見られたりはするのですか?」 「ええ。ここから戻った所にそういった神姫達の斡旋所があるのでそこで見られますよ」 白衣の男はソフトに言ったつもりなのだろうが、そこは要するに盲導プログラムが組み込まれてあったり、訓練が終わっていたりする身よりも当てもない中古品の神姫を売っている場所である。 どういう風に売られているかといえば、神姫専門の中古店などと同じ形式になっており、場所にもよるが端的に言えばそうした神姫は犬とあんまり変わらない扱いで引き取る人を待っており、誰かに気に入ってもらえれば代金と引き替えにそのオーナーの所へ行けるという仕組みで、あんまり面白くない場所であるのは確かだ。 「そうですか。じゃあ、僕はそれを見たら帰る事にしますよ。今日はもう遅い」 「確かにそうだね。僕も一緒に帰るよ」 「わかった」 それを聞いた俺はそろそろ施設についても十分知ることが出来たため、適当な理由を付けて帰る事を告げる。それを聞いた輝もまたそれに同意した。 「それではまた、興味が持てたら来ます。今日はどうもありがとうございました」 「ええ。お待ちしておりますよ」 白衣の男と言葉を交わした俺は一礼をし、その研究室を出ていき、そのまま斡旋所へと向かった。 戻る 進む
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MMS戦記 各種設定用語集 その1 MMS戦記に登場する各種世界観の設定や用語を紹介します。 非公式バトルロンド 神姫センターやゲームセンター以外で行われる非公式のバトルロンドのこと。 違法性の強い、危険なバトルロンドや犯罪行為に相当する非公式のバトルロンドのことを一般的に指す。 これらのバトルロンドは取り締まられることもあるが、警察内部の腐敗もありそれほど熱心には取り締まられていない。特に西日本は大手MMS企業が半ば公然と非公式会場まで用意して開催しており、非常に強い勢力を誇っている。 MMSは、社会に多大な影響をもたらしたが、そういったMMSは2030年代後半にはかなりの数が普及し、全国に相当数の神姫センターが作られるようになった。だが公式の一般的で健全なスポーツ大会などの大衆娯楽に飽きてしまったマスターや神姫が多いことも手伝って、瞬く間に地下の非合法の間に浸透していった。 非公式地下バトルロンドの会場には様々だが、以下のようなものがある。 廃墟となった大型建築物 倉庫、ホテル、ビル、学校、工場、炭鉱 等 上記のような廃棄された建築物で即席に行なわれることもあるが、こういった所で行なわれる非公式バトルははっきり言ってしまうと、「粗末」に尽きる。 設備も整っていない、衛生上好ましくない、立地的に不便などの理由で開催されるのは地元のはぐれ神姫オーナーやMMS暴走族など、金銭面であまり優れてない低所得のオーナーが集まることが多い。したがってバトルも神姫も低レベルなことが多い。粗悪なイリーガル神姫や低レベルな違法カスタマイズされた神姫などが幅を利かせている。 暴力団、マフィアが管理する非公式会場 繁華街地下、ラブホテル、神社、寺、裏バトルロンドセンター、貨物船改造裏センター 等 暴力団やマフィアなどの裏組織が運営する、ある程度の設備が整った非公式会場。そこそこの規模で正規の神姫センターとさほど大差ない、また立地的にも優れている所が多く、金銭的にもお手ごろではある。また暴力団の用心棒などが目を光らせており安心して違法な非公式バトルロンドを楽しむことが出来る。金銭面に普通のオーナーが集まることが多い、神姫のレベルやバトルも標準レベル。イリーガル神姫はたまに見るくらいでほとんどはそこそこ名のあるランカーMMSや公式大会に出た強神姫などが多い。 企業、富裕層、特権階級が管理する非公式会場 高級ホテル、リゾート地、無人島、大型豪華客船、小規模都市 いわゆるお金持ちご用達の非公式会場の中でも最高級の会場である。 有り余る資材と金銭をかけて贅沢に作られた会場で、設備は完璧で中には宿泊施設まで備わっており十二分に神姫バトルを楽しむことが出来る。ただ参加するだけでもかなりの金銭が必要で、バトルの賭け金も他の非公式会場とは比べ物にならないほど高額である。中には豪華客船を丸々バトルロンド会場に仕立てたあげた移動式神姫センターともいうべき豪華客船が外国船名義で何十隻も存在するとも言われている。 参加する神姫は二つ名持ちのSSS級、SS級、S級はざらで、中にはMMS企業が開発したカスタム強化したMMSや新型MMS、試作神姫など強力無比な神姫が多い。 リアルデスバトル 実弾入りの重火器を用いて戦う、文字通りのリアルファイト。参加する神姫のギャラも、賭けの配当が高いが、MMSを破壊するだけでなく、CSCを完全破壊することも厭わない殺し合いである。 一応、観客保護用のバリケードも出てくるものの、流れ弾に当たって観客が殺傷するケースも多い。しかし、そんな危険と隣り合わせの緊張感でさえも観客に興奮と刺激を与えるものとなり、実戦での緊張感が伝わってくるといわれる。 基本的に1対1で戦うルールだが、場合によってはハンディキャップマッチも組まれることがあり、大規模バトルロンドでは強ランカーMMS1体 対 通常MMS100体 という超変則マッチが組まれるようなハンディキャップマッチが行われることも多々ある。 他にも泥レスに近いダートバトルに、複数神姫のチームによるバトルロイヤルなどいろいろなものがある。また、この手の非公式バトルロンドではよくある観客や審判の目を盗んでの反則行為や、八百長によるイカサマも後を絶たない。 このような非公式の地下バトルロンドはMMS企業が開発したカスタム強化したMMSや新型MMS、イリーガル神姫の実験場としても用いられた。 マッチメイカー 参加するMMSのオーナーは出身も様々だが、大半は公式の神姫センターやバトルからあぶれた荒くれ者であるケースが多い。そういった人材を発掘し、自分の専属選手にするのが各地の街に属するマッチメーカーである。マッチメーカーは強力な神姫の発掘と育成、試合交渉や取組の決定なども行うが、闇のMMS商人出身者も多く、また、人を簡単に騙すというイメージもあるので、一般的にイメージはあまり良くない。勿論、人間が出来ているマッチメーカーもいるが、タチの悪いマッチメーカーは参加するマスターや神姫を食い物にした後に放置し、犯罪に巻きこまれてしまうケースも多い。 賭け試合 非公式バトルに参加するオーナーは、戦いの緊張度を高めるために「賭け」を行うことが基本ルールとなっている。 賭けるものはなんでも構わない。 過去に賭けに出された物の一覧 金、証券、貴金属、土地、ビル、臓器、美術品類、自動車、漁船、事務機器類、牛、書籍、女、工場、銃火器、武装神姫、会社、ミイラ、人口衛星、島、名簿帳、同人誌、恐竜の化石、旧式潜水艦、などなど 多いのは「金」「高価な武装神姫のパーツ」等など、多種多様だが、若い女性が金銭目的で大金を賭けて、自分には金がない場合は、体を差し出す場合がある。無論そのような勝負に敗北することが、それがどういう意味かは、わざわざ語るべくもない。 そのような危険な賭け試合であるが、手軽に大金を入手することができるので、若者や青少年に人気が高く、社会問題にもなっている。特に未成年の女性が勝負に負けて暴行を受けてしまう事件が後を絶たない。 関西の神姫と関東の神姫の相違点 一般的に大阪の神姫と東京の神姫は色々な点で異なる点がある。 その1 周波数 まず、大きな点として神姫が使う周波数が違う。 冷蔵庫や洗濯機など家電製品を使用する場合,関東では50ヘルツ,関西では60ヘルツと電力の周波数が違う。これは,日本で初めて発電が始まったときの経緯による。明治29年,東京電灯(東京電力の前身)はドイツのAEG社から50ヘルツの発電機を購入したが,その翌年,大阪電灯(関西電力の前身)はアメリカのGE社から60ヘルツの発電機を購入して操業を始めた。以来100余年,新潟県の糸魚川から静岡県の富士川を結ぶラインを境として,50ヘルツと60ヘルツの地域に分かれてしまった。その後,周波数を統一する動きは何度かあったが,そうするとどちらかの地方の電気製品は使えなくなってしまう。。第二次世界大戦直後、復興にあわせて商用電源周波数を統一するという構想があったが、復興が急速に進んだことで実現がほぼ不可能になってしまったとされる。2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0を記録する東北地方太平洋沖地震と津波が発生し、日本各地に甚大な被害がもたらされたときにも周波数の違いで関西と関東で電力を共有か出来ない事態が発生したことがあるにもかからわず、21世紀から四半世紀たった現在も統一は多難で、この問題は後のMMSたちにも非常に大きな影響を与えてしまった。 周波数を統一するには一方あるいは両方の地域の発電機を総て交換しなければならない(あるいは応急処置的に発電する段階で周波数を変換する設備を組み込み、それを通す)うえ、周波数を変更する際に停電が伴ったり、さらに周波数に依存する機器(後述)を交換するかそれに対策を施す必要があるため現実的には殆ど不可能に近い。 さて、武装神姫であるが、主に関西の神姫は標準周波数60Hzの武装パーツを使用し、関東の神姫は標準周波数50Hzの武装パーツを使用する。 ここで大きな問題となるのは、関西の神姫と関東の神姫は武装パーツの交換が出来ないということである。 一般に電化製品には電源周波数を指定して設計・製造されているものがある。神姫も同じで、周波数の異なる地域で利用する際には部品交換や改修が必要となる。また、改修に対応できず、買い換えを余儀なくされることもある(神姫によっては改修するより新規購入の方が安価である場合も考えられる) だが例外もあり、大型の武装神姫「戦艦型MMS」「航空母艦型MMS」などの通常の神姫の数倍の大きさの神姫には、高効率化・低消費電力化などを目的にインバータを用いて製品内部で周波数変換しているものも多くある。これらは一般に電源周波数に関係なく使用できる(いわゆる「ヘルツフリー」と呼ばれる。) このため、神姫オーナーが引越し(例えば東京から大阪)の際には、利用している神姫の表示(銘板)や取扱説明書で対応周波数を確認し、引越し後にそのまま利用できるか、あるいは改修が必要か確認することが重要である。大型MMSには「50/60Hz」と記載されていれば、そのままかあるいはMMSのハードで周波数で切り替えることで、どちらの周波数でも利用できる。 電動機を搭載した武装の場合、50Hz・200V、60Hz 200/220Vという表記をしたものが一般的であるが、極まれに60Hz200V時に起動不良問題が起こる。 これはコイルのインピーダンスが周波数に反比例し入力電流が減少し起動トルクが低下するためである。電源電圧を220Vに近くする、プーリーやギヤ比を換える、あるいは60Hz用に設計した機器を使うなどの配慮が必要である。 こういった点があるため、関西と関東では同じ神姫であっても武装の共有化が出来ないので、文化的、種類的にもまったく別系統の進化が起きてしまっている。 その2 文化 これは良く言われている事ですが、関東では右側が追越車線、関西では左側が追越車線です。 重い武装などを持っている神姫を追い越す場合などは、大抵の場合、武器は右手に持つ人が多いので、関西の方が追い越すのに武器にぶつかる事が少なく合理的な様な気もするが・・・ただ、広島や九州は関東と同じで右側が追越車線です。道路のルールに習うならば、右側が追越車線? そのため、戦場で乱戦状態になるとこの追い越しの車線の変更でまとめておかないと大きな事故になったりぶつかったり洒落にならない事態になることが起きる。 細かいことだが、けっこう重要だったりする。 マ*ドナルドの呼び方関東ではマック 関西ではマクドです。 ヨメ vs かみさん関西の皆様は自分の愛神姫を『うちのヨメ』とおっしゃいます。関東では、『うちのかみさん』と呼ぶことが多い様です。 ただ、ネットで「~は俺の嫁」というフレーズが流行ったため『うちのヨメ』といういい方が圧倒的に多くなってきている。 言語の違い 言い出すときりが無いが、関東と関西では言葉の違いが激しいため、神姫同士での意思疎通が出来ない場合が発生する。 そのため大阪にいる神姫と東京にいる神姫は、文化的(ソフト)にも武装的(ハード)にも相容れないので、お互いがお互いを嫌ったり差別したりするといった問題が発生している。 性質の違う神姫が突然出会えばお互いに警戒・威嚇をするのは当然といえば当然のこと。 ほとんどの神姫は元々集団で生活して縄張り意識が強い。普段、関西にいる神姫と関東で暮らす神姫は縄張りが重なることはほとんど無いが、マスターが神姫を連れて関東の神姫センターに出かけるとそこの神姫の縄張りに入ることになる。そこで関西の神姫と関東の神姫は激しく反発するという単純な理由。 本当は仲が悪いからケンカをするのではなく、知らない相手だからケンカをする。だから関西の神姫と関東の神姫が小さい頃から一緒に育てると特に警戒心を持たず、仲良く遊ぶことも多い。 関西と関東で神姫の性質や性格、モノの考え方や文化面があまりにも違うので、マスターたちは戸惑うことが多いようだ。武装や戦術もここ数年で大きく変化してきている傾向が見られる。 ちなみに、バトルロンドで関西の神姫と関東の神姫が戦うと、問答無用の凄惨な戦いが発生することがしばしばあるので、注意が必要である。 トップページに戻る
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『キメろフラン!両断しろ!』 『いけぇムラクモ!お前の一撃叩き込んでやれ!』 「マスターの求めるものは、全て!」 「マイマスターの為にッ!」 オーナーの叫びが交差すると同時に、神姫たちが駆け出し、また、お互いの言葉が交差する。 紅い神姫は、手にしたリボルバーから大粒の弾を吐き出しながら、ホイールのうなりと共に。 黒い神姫は、左手でハンドガンを取り出しつつ、迫りくる銃弾を右手の大太刀で切り払いながら。 「なっ、あんな大きな刀を片手でッ!?」 『信じられねぇ、どういう間接してやがる!?オマケにスラッグを切り払うなんざ、どんなスキルだ!』 3発の銃声の後、専用ローダーで素早く弾を交換、青いショットシェルを詰め込む。 「鍛え方と、勝利への貪欲さが違うからさ!」 『勝つために培ってきた技と強化駆動系、ナメてもらっちゃ困るんだよ、三輪車が』 なおも飛来し続ける弾を切り払い、黒い神姫は走り続ける。 『スラッグじゃだめだ!バックショット、赤いヤツ!』 「い、イエスッ」 今度は赤いショットシェルを詰め込む。九つの顆粒弾が詰まったバックショット。 まもなくインファイトレンジ、銃よりも刀が勝る距離。 『ムラクモ!ナイフ!』 「オーライっ!」 左腿のスペーサーに装着されていたナイフを取りはずし、装填の終わったローダーを捨て、空いている左手に握る。 「近接戦闘でぼくと殺ろうっての?覚悟は良いけど……」 その間、既にインファイトの距離に入った黒い神姫、フランドール。 「そんなオモチャで、勝てると思うなよぉッ!」 右手の大太刀、斬破刀を上段に振りかぶり、垂直に下へと振り下ろす。 金属同士がぶつかり合う高い音が辺りに響き渡る。 「う、くぅ……ッ!」 先ほど抜いたナイフで、振り下ろされた斬破刀を受ける紅い神姫、ムラクモ。 「ふふっ、だぁからいっただろ?勝てると思うなって」 ギリギリと嫌な音を立てるお互いの刃物。 しかし、フランドールのパワーを抑えきれないのか、じわりじわりとムラクモの頭上へ迫る。 「フルパワーで振り下ろしたらすぐ終わっちゃうしね、このまま……ゆっくりと斬らせてもらうよ?」 「さ、せ……るか……っ」 2mm、3mmと少しずつ近づく凶刃、そして、刃を進めるフランドールの顔は、楽しげに嗤っていた。 「あと何秒かな?あとどれくらいで、キミのその、メットの下の柔らかーいお肌に食い込むのかなぁ……?」 ソレに対し、必死に抗うムラクモ、しかし、迫る刃を抑えているナイフはカタカタと震えている。 「(だめ、なのか……ッ)」 ムラクモがそう思ったとき、不意を付くようにマスター側からの叫び。 『今だ!バックショットならその距離でいける!』 ハッ、としたように、ムラクモはリボルバーをフランドールの腹部に向ける。 『フラン撃たせるな!ストライクで先にブチぬけ!』 舌打ちをしつつ、左手のハンドガンをムラクモの頭に向ける。 直後、トリガーを絞った二人。 2種の銃声が、ほぼ同時に轟いた。 銃声の後。 弾をもらって、お互いに倒れこむ。 辺りに立ち込める硝煙と、カツン、と1個だけ空薬莢が落ちる。 ―――ドローゲームか!?ギャラリー、オーナーともどもそう思ったそのとき。 Win ムラクモ 合成音声からジャッジ判定が述べられた。 それからほんの1秒程度、ゆっくりと、赤い腕が真上に上がり、親指をぐっと立てる。 「……勝っ……たよ」 そんな間抜けな勝ち台詞の後、VRスペースから排出され、筐体から現実へ。 「うぉおおおおおおすげぇえええええ」 「このヌルいセンターでこんなアツいバトル観るとはおもわなんだ!」 「ふぉぉおおおおおムラクモたんふぉぉおおおおおおッ!」 「ムラクモたん愛してるぅううううううう!」 「ムラクモー!ム、ムラー!ムーッ!」 「さすがここ期待のルーキーだ、いいガッツだぜぇ」 「(゚∀゚)むーらっくも!むーらっくも!」 「(゚∀゚)むーらっくもッ!むーらっくもッ!」 「いやぁ、あのムラクモたんでここまで苦戦する相手が現れるとはなぁ」 「うむー、あのストラーフちゃんもいいガッツだったぜぇ」 「鍔迫り合いんときのあの凶悪な笑みがたまらないわぁ」 「まったくだ、あの顔で斬られてみてェ」 「うむ、オレ超胸キュン。様付けで呼びてェ」 「ストラーフ様カッコよかったなうふふ」 「凶悪そうな感じがなんともだなうふふ」 「ムラクモたんに新たなライバル出現だな、いろんな意味でうふふ」 「いやだからそのうふふってやめろよ!?キモいって!?」 「ふぃー……おつかれ、ムラクモ」 「ん……マイマスターこそ、おつかれさま」 溜息を長く吐きながら、筐体から這い出るように出てくる神姫とオーナー。 「おつかれムラクモたーん、あと晃」 「いいバトルだったぜー、熱かったぜムラクモたーん、あと晃」 「なんでオレの名前が後なのよお前らは」 口を尖らせる、ヒカルと言われた高校生くらいの少年。 「そらおめー、男よりかわいー女の子に言うほうがいいべ?」 「ムサい男にいってもなー、なんかなー」 「だよなー、ムラクモちゃんのがかわいーもんなー」 言いたい放題のギャラリーたち。 「ちぇー、まいいけどさ。あとムラクモちゃんはかなりお疲れみたいよ、いつものツッコミ返ってこないもん」 胸ポケットの中で、ぐったりとした紅い神姫。表情からも疲労感が伺えるほど。 「あんだけ派手にやりあえば疲れもするか……オレのために、本当におつかれさん」 桃色の髪を撫でながら、オーナーが今日の勝者へ賛辞を送る。 一方勝者は、疲れた顔から少し気持ちよさそうに賛辞とオーナーの指を享受している。 「そんじゃ行きますか」 「……行くって?」 「対戦相手ンとこ。あの子といろいろと話、してみたいぜ」 「まさか……あんな僅差で負けるなんてね」 一方、未だ筐体の中で、中のシートに寄りかかるゴシックパンク調の少女。 小さめのその身体から、溜息と共に自嘲気味に言葉が吐かれた。 「マスター……その……ぼく……」 少女は、その視線を消え入りそうな声の主に向けた。 「……ごめん、なさい……」 試合前の覇気はすっかり無くなり、黒い神姫はただうなだれるだけ。 そんな神姫に対し、少女は柔らかく微笑んだ。 「怒ったりしないから大丈夫」 「で、でも、また……壊されたら……ぼくは」 その言葉を指で制し、もう一度溜息。その後寄りかかった身体を起こしつつ、少女は語る。 「……そのときは私が守る……体差し出してでもね」 筐体から排出されるオーナーズカードを取る。 「でも、こういうのはある意味望んでたことだろ?こっちが負けるような強敵に出会えたんだ」 手を、黒い神姫の方へ。 「おいでフラン、アイツの名前、聞いとこう」 「ども、おつかれさーん」 少年は軽い口調で、対戦の相手の少女に声を掛ける。 「おつかれ、今日の勝者」 対する少女は、棘を含ませるような言い方で返す。 「アイヤー、強いねキミ、勝てる気がちょっちしなかったわーHAHAHAHAHA」 「イヤミ?勝ったくせに」 エセっぽい外人笑いとまたも棘を返す少年と少女。 「あーいや、勝てる気がしなかったのは割りとマジ。自分でもこの結果にはびっくりさ」 「結果が全てじゃないか、負けたやつが悪いのさ」 「そーいう言い方は少し関心できないぞお兄ちゃん、そんな歳からそういう考え方は良くない」 「でもそういうセカイだろ?ここは。どっちが強くてどっちが弱い。それで勝った負けたじゃないか」 少女の物言いに、少年は少し困った顔をした。 「でも、負けたほうが得られるものが大きかったりするんだぜ?どこが悪かった、とか、いろいろ考えることもできるし」 「生憎と、負けて次があったことがないんだ……失ったことしかない」 少女と、黒い神姫の表情が少し曇った。 「なんだそれ……とりあえず、なんだ、場所変えよう」 急に小声になって、少年は少女に提案を申し付ける。 「ここじゃギャラリーが多すぎる。ゆっくり話できないだろ?」 少女がふと、周りを見渡すと、先ほどまで観戦モニターに釘付けだったギャラリー連中が集まっていた。 ―――視線は主に少女と神姫二人に集中してるようだが。 「な、ここはヘンタイという名の紳士が多いから」 「……どこまでヌルいんだここのバカどもは」 「い、いま罵った!バカどもって罵った!」 「オレだ!オレに言ったに違いない!」 「いやオレだ!というかバカどもだからここのみんなに違いない!」 「うぉおおおおン!もはや説明不要!」 「その目イイヨイイヨー」 「そらいくぞ!いつまでもこんな紳士どもの視線にこの子晒せるか!」 「ちょ、ちょっ、引っ張るな!聞いてんのかコラ!?おい!?」 少年と少女は駆け出した 「逃がすな!追え!地球の裏まで追うんだ!」 「おのれさせるか、オレがいくんだ!」 「てめぇ抜け駆けすんじゃねェこのくそはなせぇ!」 「ひかるぅー!次会ったらブチ殺してくれるぅぅうう!」 「うぉおおおおおン!」 トップへ ねくすと
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第弐幕 「Virgin cry」 「マスターは・・・まだ寝ているのか」 どうも私を購入したのは相当衝動的だったらしく、マスターの神姫に対する認識と知識は非常にあやふやで、昨夜は結局質問攻めに会い、そのまま互いに「眠って」しまったのだ 取敢えずクレイドルから体を引き剥がし、部屋の中を散策する事にする 私?私の名はカスミ。侍型MMS、タイプ紅緒、個体名「華墨」。マスターである佐鳴武士に買われて二日目の、言わば新米の武装神姫である マスターの部屋は、本棚が数十年前の漫画本で埋め尽くされ、戸棚の上にはMMSでこそ無いが、種々のアクションフィギュアやプラモデルが好き勝手なポーズで放置されている 本人が言うには節操無く格好良いものばかり集めているらしく、確かに私の「知識」と照らし合わせても、特定のアニメやゲームのグッズを集めているという感覚からは遠いと見受けられた 「・・・ほう、これはなかなか・・・」 等と呟きながら、勝手にそこらに飾ってあるフィギュアの武器だの、本体から脱落したパーツだのを手にとって構えてみたりする そうすると、不思議と自分が強くなったような気がする・・・これが武装神姫の戦闘本能というやつなのだろうか 「いい剣だ」 仮面の戦士が構えていた重そうな大剣を両手で構え、ポーズをつけて素振りなどしてみる・・・今のポーズは決まっていたな と、窓の辺りから入ってきた気配に咄嗟に振り向く。そういえば猫が出入りする様な小さな扉がしつらえられていたが 「この部屋の住人ならば挨拶しておかなければなるまいな・・・」 何故か仮面戦士の大剣は携えたまま窓の方へ向かう。ベランダ側の窓からは、微かに爽やかな朝の空気が出入りしており、人工皮膚を心地良く撫でてゆく あぁ・・・いい気持ちだ・・・・白い陽光と風に包まれる部屋、薄く寝息を立てるマスター、自分が知識でしか知らなかった世界、私の傍にもそもそとやって来る緑色の謎の生き物・・・ 待て 待て待て なんだか異様な生き物が私を見つめている(ように見える)トゲトゲした背鰭に、ギクシャクした動作、鼻面から尾の先迄概ね50センチ、全身が緑色の鱗で覆われていて、眼球まで皮膚がかぶさっている ぎょろ 「ひッ!?」 見た 見られた 今明らかに瞳が私を見た しかも右目だけが 左目は明らかにぐりぐりと別の方向を索敵(?)中で、それは即ち左右の瞳がてんでばらばらに動いている事になる 体が動かない・・・ッ 何を怯えているんだ、私は人類の英知が生み出した科学の子「武装神姫」だぞ。こんな謎の爬虫類相手に足が竦むなど、何かの間違いだッ・・・なんで色変わってんだよ・・・いい気になりやがって 取敢えずまずは話しかけてみよう。うむ、ファーストコンタクトは大事だ。これに失敗した事による悲劇は映画史上枚挙に暇が無い。危険な相手かどうかは話をしてみないと・・・ 瞬間、謎の爬虫類の口から何かが放たれた・・・凄まじい速度、神姫の動体視力で持ってしても捕らえ切る事が困難なそれは、もし私がターゲットにされていたなら確実に一撃で仕留められていただろう 気付くと、ヤツの口から何かの昆虫と思しき肢がはみ出しており、ヤツはそれをむしゃむしゃと旨そうに喰らっていた 「・・・き・・・っ貴様なかなかやるな!!だっ・・・だがその程度のデモンストレーションでびびる私ではないぞ!!神姫に同じ手は二度と通用しないのだ!その技をここでみせてしまった以上最早貴様に勝ち目は・・・」 仮面戦士の大剣を構えつつ口上を放つ、が、ヤツはそれを無視して私の脇をのそのそと通り抜ける 「・・・ふっ・・・しょっ、所詮爬虫類だな私の圧力に恐れをなして逃げるのか!?どちらがより上位の存在か、これではっきり・・・え?」 振り返り、ヤツに剣を向けて再び口上を放つ私。その剣の先で、マスターがなんとも言えない表情で笑いを堪えていた 「いやぁ華墨は勇ましいなぁ。大概のやつはボナパルト君を最初に見た時はびびるのに、まさかそれと闘おうとするとはな・・・さすがは武装神姫って事か」 「・・・もう勘弁してくれ・・・マスター・・・」 着替えながら笑うマスター。「ボナパルト君」と対峙した時の私の構えは、本当にへっぴり腰で、それだけで既に笑ってしまいそうな程情け無い構えだったらしい 「なんでカメレオンなんかが居る・・・?マスターは昨夜そんな事は一言も・・・」 「いやぁ、なんか判らんけど前にこの部屋に住んでた奴が放置していったらしくてな。ほら、ベランダの外に木が一本見えるだろ?あそことこの部屋を根城に生活してるらしいんだわ」 これは後で聞いたのだが、ベランダには「ヴェートーヴェン君」という名の亀も居るらしい。つくづく自分の名前が「エリザベス13世」とかにならなくて良かったと思った 「・・・しかしまぁ元気と闘志はあるみたいだな?いい感じだぜ。これでバトル向きの性格じゃなかったらどうしようかと思ってたんだ」 「・・・?マスター、どうするんだ?」 「バトルスペースへお前を連れて行く。なんつったって『武装』神姫なんだからな。お前の力、見せてもらうぜ?」 歯を見せて笑うマスター。後ろにボナパルト君さえ居なければ、私はとても凛々しい表情で「応」と言えただろう 神姫のバトルは、実際に神姫同士を戦わせるリアルバトルと、往年の「プラモ狂○郎」や「ガ○ダム野郎」「プラモ○ォーズ」の様なバーチャルバトルがあるらしい マスターが以前に見た「ツガル」の戦いは、そのバーチャルバトルの方らしく、低位のランカーや神姫が傷付くのを嫌がる人々から支持され、公式リーグに導入して欲しいとする声も一部で上がっているそうだ で、その低位ランカーの草試合・・・サードリーグレベルのバトルが行なえる、近所で唯一の店を目指してマスターは来たのだ 古風な横開きのガラス戸を開ける。来客を知らせるチャイムが店内に響き渡る 古風な店・・・数十年前から時が止まったかの様な印象を受けたと後でマスターは漏らしていた・・・所謂駄菓子屋のレベルの店内に、明らかに不釣合いなバトル筺体 「この近所にこんな店があったのかよ・・・知らなかったぜ」 「いらっしゃい。初めて見るお客さんだね」 そして、店長と思しきフケ顔の青年は、明らかにこんな店の店員をやっているよりは、異星人の残した超戦闘服を着て、世界を征服した秘密結社を打倒して自らこの惑星の王となろうとする方が似合いそうな容貌である(何を考えているんだ私は) 「武装神姫のバトルってのがやりたいんだけど・・・相手居る?」 「・・・ほう。新規さんか・・・成程、ではバトル用のICカードを作るから、神姫と一緒に奥に来てくれるかな」 武装の登録等を取敢えず一通り済ませる迄におおよそ一時間を要したが、マスターは随分やる気のようだ・・・無論私も、緊張感と共に、マスター言う所の「闘志」が湧き上がるのを感じていた 「佐鳴 武士君と、華墨君だね・・・?これで登録終了だ。多分今日も待っていたら『槙縞ランカー』が一人や二人くらいは来ると思うから、その人達と戦って見ると良い」 「『槙縞ランカー』って何?」 「この町の地元リーグ・・・この店の名前を取って『槙縞ランキング』と呼ばれているが・・・の事さ。周辺に住んでいる大概の神姫オーナーとその神姫の強さを私達が評価してランキングしている。初めての君にはピンと来ないかもしれないが、中には公式のセカンドリーグでもそこそこいい所まで行くと目される神姫も居るよ」 「凄えなぁ・・・燃えてくるぜ!」 「フ・・・充分に熱血してくれ給え・・・どうしたキャロライン?」 見ると、店長のズボンの裾を引っ張る神姫・・・ストレートロングヘアで一瞬判らなかったが、ヴァッフェバニーか?咥え煙草風のアクセサリを付けている・・・ 「彰人、客が来てる」 店長は客に対応する為に出て行く 「バトルは初めてかい?」 「・・・あ・・・?あぁ」 いきなり声を掛けられて戸惑う。そういえば、何故この神姫(ひと)が相手では駄目なのか? 「済まないね・・・あたしはもう闘わない事にしてるんだ」 「・・・っ!!」 心を読まれたのか!?何だ?この神姫は 私が一人で驚愕していると、店長が入って来る 「武士君、華墨君。早速バトルが出来るようだよ」 それを聞いて、傍にある玩具の箱を見ていたマスターが勢い良く立ち上がる 「おっけい!どんなやつでもかかって来いってんだ!行くぜ?華墨!」 指を鳴らすマスター、喉を鳴らす私。緊張感は胸を締め付ける程になっている 「行ってきな。あんたの力、しっかり試しておいで」 キャロラインと呼ばれたヴァッフェバニーに肩を押され、私はマスターの肩に飛び乗った・・・! 剣は紅い花の誇り 前へ 次へ
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人気者にあこがれて 「うりゃああああっ!!」 フィールドに高らかにこだまする声。 ここは神姫たちが全力を尽くして戦う場所、バトルフィールド。そこでは二人の神姫が対戦していた。 一人は天使コマンドタイプの装備をつけた緑の長髪の神姫。 そしてもう一人はフェレットタイプの神姫。 ふたりは荒野のステージで小細工なしの決闘を繰り広げていた。 「ふっ、甘いですね。これで全国制覇だなんて笑わせます」 フェレットの攻撃を余裕でかわすコマンドタイプ。しかしフェレットは必死になって拳を当てようとする。 『どうしたんだリリィ、いつもと様子が違うぞ』 フェレット=リリィのマスターが心配そうに声をかける。 「心配ないよ翔にいちゃん、リリィは負けないから」 大丈夫なことを言いつつ、リリィはコマンドタイプに攻撃を続ける。しかしその攻撃は空回りするだけだ。 「それに、ここで負けたら、あの人と戦うなんて夢のまた夢だもの」 リリィはかまわずに攻撃を続ける。彼女の決意の理由は、ある神姫の出会いによるものだった。 話は数ヶ月前にさかのぼる。学校から帰ってきた九重翔は、自分の部屋にあるパソコンのモニターにかじりついているリリィに声をかけた。 「ただいまリリィ、何見てるんだ」 「あ、お帰り、翔にいちゃん」 どうやらリリィはモニターの記事を見ていたようだ。 「これって、バトルロンドの記事じゃないか。何か気になるものでも?」 「うん、この神姫なんだけど…」 リリィは記事の画面を指差した。そこにはツガルタイプの神姫が映っていた。 「これはサンタ型のツガルだな。このタイプの神姫がすきなのか」 翔はそれを参照にツガルタイプでどの神姫がすきなのか探してみた。 「ええと、これかな?たしか、シルヴィアっていうツガル型」 ツガルタイプが載っている画面を表示し、翔はかっこよさそうなものを選んでみた。しかしリリィは首を横に振った。 「ううん、この神姫じゃないよ。同じサンタでも、もっとかわいいの」 どうやらリリィは別のツガルタイプを探しているようだった。 「じゃあ、これかな?きらりっていうけど、これじゃないかい?」 翔は別のツガルを指差したが、リリィは首を横に振るばかり。 「違うよ、もっとニコニコしてるの。何ていうか、ツガルっぽくなくて、どこかツガルっぽいの」 ニコニコねえ…。翔はそれをキーワードにツガルというツガルを探してみた。そして数十分後、リリィがあるツガルタイプを指差した。 「これだよ、このツガル。この神姫の動画を見て気になったんだ」 画面には、ホーリーベルという名前のツガルタイプが映し出されていた。 「へえ、お前も変わった奴を好きになったもんだな。たしか、この神姫は去年の記事に大々的に載ってたな」 翔はホーリーベルの詳しいデータを検索サイトで探してみた。 「ええと、この神姫は今から2年ほど前にデビューしてある大会をきっかけに有名になった。ファイトネームは、『幸せを呼ぶクリスマス』…まあ、サンタ型だしな」 「ある大会って?」 「ブラッククリスマスっていう神姫がいたんだけど、それを倒したことで実力が認められたらしい。それから年が明けた後、彼女を指名する相手が増えて、雑誌からもオファーが来たそうなんだ」 ホーリーの記事を見つつ、翔は別のウィンドウを開いた。 「転機になったのは、この大会に参加したときからだな。これは全国規模の大会だから、ホーリーベルも注目されたんだろう」 翔は記事を見つつ、試合の内容について話し始めた。 彼の話によると、この大会は1年に一度開催する『ワールドロボットフェスティバル』というイベントで、全国各地から集まる名うての神姫やバトルロボットが参加している。ここでは総勢200体以上ものロボットが集結する、国内で最大のロボットイベントで、ある大会に参加して高得点を得たものは名を残すことができるという。 「もちろんそれだけが目的じゃなくて、最新のロボット技術を披露する場所でもあるし、各メーカーが全世界にアピールする場所でもある。まあ、簡単に言うと、おもちゃショーやモーターショーみたいなものだと思えばいい」 「へえ~、そんなにすごいところなの」 目を輝かせて翔の話を聞くリリィ。それほど気になる内容なのだろう、ワクワクがとまらない状態だった。 「その中のイベントに『ロボイドバトル』という異種格闘戦があってね、そこにホーリーベルが参戦したんだ。とはいっても、当時の全国レベルではまだ中の下くらいのホーリーだから、このバトルでは苦戦したらしい」 翔は別のサイトから、その大会の様子を記録した動画を再生させた。 「第8回ロボイドバトル第4試合、アジャンテVSホーリーベルの対戦が始まります。前回に続いて2回目の出場となるアジャンテは鎧を装着しての登場です。対するホーリーベルは、意外にもノーマルに近い武装スタイルで登場しています」 画面には、ロボイドバトルの第8回大会の様子が映し出されていた。そこにはホーリーの姿があった。 「あっ、ホーリーだ~」 「対戦相手は神姫じゃないな、オリハルコンシリーズ…だったかな」 オリハルコンシリーズとは、とある企業で開発した専用素体をベースにしたもので、神姫ほどではないものの、手足を交換したりアーマーを装着することによりカスタマイズできる、神姫とコンセプトが似通っているシリーズの名称である。そのうちの一体がこの大会に参加しているのだ。 「こいつは神姫を発売しているメーカーの対抗馬だろう。だからこの機会にアピールしたいんだろうな。オリハルコンを発売してるメーカーは、女性型以外にもリアルロボットなどのマシンやビークルなども発売しているところだから、神姫に対抗して新ジャンルを作ったんだろう」 「と、いうことは、ほかのメーカーも同じものを出してくるの?」 「そうだろうな、現にいろいろなメーカーからコミュニケーション機能を持つロボットモデルを販売しているからね。その先陣を切ったのが『武装神姫』といわれているんだ」 確かに神姫は美少女型ミニチュアロボットのはしりとなってはいるものの、元々のコンセプトがオーナーとのコミュニケーションが取れる『成長するフィギュア』であり、個々の自我をもつため、様々な目的に対応できる可能性を秘める『フィギュアの枠を超えた多目的ロボット』でもある。当初はそれに対抗するフィギュアは存在しなかった。もっとも、美少女型以外のロボットはいたが、どちらかというと対戦等を目的としたバトルフィギュアが主だったのである。 「神姫の登場は、今までのロボットフィギュアの考え方を変えた。今まではバトルすることは出来ても、フレキシブルに考えて行動することなんて出来なかったからね。…って、リリィにはちょっと難しすぎたかな」 翔の説明を聞いているリリィは、ちょっと困った表情になっていた。 「う~ん、リリィにはあんまりよくわからないけど、神姫があったからいろんなところから同じものが出てきてるんだね。それって、いろんなロボットが増えるっていうことだよね」 「まあ、そういうことかな。おっと、試合が始まるぞ」 それぞれがカプセルに入り、バトルの準備が完了する。そしてステージ上に二人の選手が現れた。 「それでは、ロボイドバトル、レディゴー!!」 「リリィは誓ったんだから…、ホーリーさんと会うまでは、ぜったい負けないもん!!」 力を振り絞り、リリィはコマンドタイプに立ち向かっていく。 (何て気迫なの、このままだと本気出さないといけないかも…) コマンドタイプは防御にはいり、リリィの攻撃に備える。練習試合のはずだったこの試合は、もはや両者とも本気を出しかねない空気に包まれていた。 『シラユキ、落ち着きなさい』 コマンド=シラユキの耳元からオーナーらしき声が聞こえた。 『これはあくまでお互いの実力を調べるための闘いです、もっとリラックスして挑まないと』 「ですが美由紀、相手は本気で私に攻撃を仕掛けてきます。このままではこちらが負けてしまいますよ」 シラユキはオーナーの佐和田美由紀に反論しようとする。しかしこれは練習であり、実戦ではない。あくまでお互いの利点と欠点を調べる為の試合である。それに、ある程度の実力を持っているシラユキと、バトルにおいてはまだ初心者であるリリィとではレベルが違いすぎる。それを考慮して、美雪はシラユキに手加減するように言っているのだった。 しかし今のシラユキにとって、その指示は苦痛に近かった。なぜなら、手加減するということは、彼女が思うように闘えないことを意味していたからである。 「…美由紀、リリィが闘う意味がわかりますか。今のあの子は全力で戦いたがっている。ですから、私もそれに答えてあげたいのです」 おそらく、シラユキにとってこの行為は、美由紀の指示を無視することなのかもしれない。それでも彼女は、純粋に闘いたいということを美雪に伝えようとしていたのだ。 『そうですね、リリィはあのホーリーベルと同じステージに立ちたいと思っていますものね。いいでしょうシラユキ、相手の失礼のないように、思い存分闘いなさい』 美由紀はシラユキの想いを受け入れ、パートナーに対して改めて指示を出した。たとえ、それがどのような結果であっても、お互い全力を尽くして戦うのならば後悔はしない、美由紀はそう思った。 (…そういえば、前にもそんなことがありましたね。いつのことでしたか) 美由紀は昔のことを思い出していた。 (たしか、1年ほど前のこと、ワールドロボットフェスティバルでしたかしら…) ワールドロボットフェスティバル開催の日、会場の下見にやってきた美由紀は、会場内の混雑のせいで道に迷ってしまっていた。 「おかしいですね、こんなところに出てしまうなんて…」 いつの間にか裏通路に迷い込んでいた美由紀は、近くにいる人に会場内に出るためのルートを教えてもらうことにした。 「あの…すいません、イベントブースにはどこへ行けばよろしいのでしょうか?」 美由紀は通路に歩いている男性に、思わず声をかけてしまった。 「この先は関係者以外立ち入り禁止なんだけど、もしかして道に迷ったのかい?」 美由紀は顔を赤くして無言でうなずいた。顔を上げた美由紀は、彼がどこかで見たことのある人物に似ていることに気づいた。 「もしかして、貴方はホーリーベルのオーナーの、都村いずるさん?」 「え?そうだけど、君はもしかして、ホーリーのファン?」 出会った相手とは、ホーリーのオーナーである、都村いずるであった。美由紀は雑誌などで彼のことを知ってはいたものの、実際に対面したことはなかった。もちろん、いずる本人も同じだろう。 「い、いいえ、私は、雑誌で貴方の顔を偶然見たから…」 動揺する美由紀に、いずるはやさしく声をかけた。 「そうか、私も結構有名になったんだな。2年前はそんなことなかったのに」 「2年前…って、確か、ホーリーベルがバトルデビューした年でしたよね。あの時の試合は覚えています。私もそこにいましたから」 当時高校生だった美由紀は、バトルロンドのことを詳しく知るために地方のバトルアリーナ大会まで足を運んでいた。そこでホーリーの試合を間近で見たのだ。 「ということは、君も神姫に興味があるんだね?」 「は、はい。私も神姫を購入するつもりでいます。でも…どうするのかわからないんです。確かに私は神姫に興味はありますが、いざ神姫を育てるとなると不安になるんです。もしいなくなったりしたらどうするのか…」 美由紀の顔が急に不安な表情になった。その様子を見たいずるは、当時の自分の心境を語った。 「私もホーリーを拾ったとき、どうするのかわからなかった。でも、友人の恒一や研究所の小百合さんたちのおかげでここまでくることが出来た。もちろんそれがホーリーのためでもあるんだけどね」 「拾った、って?」 「君だけに話すけど、実はホーリーは川から流されてきたのを私が拾い上げたんだ。どうして流れてきたのかというと、小百合さんが起動した直後に川へ落としたのが原因だったんだ」 美由紀はくすくす笑った。なぜなら、起動した直後に川に落とすなんて、普通ならありえないからだ。 「小百合さんって方は、どうして川原で神姫を起動したのでしょうね。普通なら部屋でするものですのに」 「まあ、小百合さんの性格ならやりかねないと思うけど。もし私がホーリーを見つけなかったら、ホーリーは流されて行方不明になっていただろうね」 二人の話ははずみ、僅かな時間も矢のように過ぎていった。 話が盛り上がっている最中に、携帯電話の着信音が鳴り響いた。 「あら、着信音」 美由紀は着信音がいずるのポケットから聞こえているのに気づいた。 「ちょっとごめん」 いずるは話を中断し、自分の携帯を取り出した。 「はい、都村ですが」 『おいいずる、もう時間だぞ、どこで道草食ってるんだよ』 どうやら電話の主はいずるの友人らしい。いずるはすぐに行くことを伝えると、電話を切った。 「ごめん、もう時間なんだ。イベントに行かないと」 「それって、ロボイドバトルのことですか?」 美由紀がロボイドバトルの名前を口にしたとき、いずるはにこっと笑った。 「そうだよ、もしよかったら君も応援に来てくれないか?ホーリーの勇姿を君に見せたいんだ」 いずるはロボイドバトルの応援に美由紀を誘った。そんなに親切にしてくれる相手に、美由紀には断る理由などなかった。 「はい、ぜひ応援に行かせていただきます」 ぎごちない美由紀の返答に、いずるは喜んだ顔で答えた。 「試合が終わったらまた会えるといいね」 いずるは美由紀が来た反対の方向へと急ぎ足で歩き始めた。 「あ、あの」 急いでいるいずるに、美由紀は何かを言おうとした。 「ん?」 「…私、必ず貴方がいる場所へ辿り着きます。いいえ、絶対に辿り着いてみせます。それまで待っていてください」 いずるはちょっと恥ずかしそうに微笑み、控え室へと消えていった。控えめに手を振る美由紀はその直後、肝心なことを聞くのを思い出した。 「…あ、道を聞くのを忘れました…」 (…結局ほかの人に通路を教えていただいてイベント会場にいくことは出来ましたけれども、試合終了後は人が多くて再びお会いすることはかないませんでした。でも、あのときいずるさんに出会うことがなかったら、今の私は存在しなかったでしょうね) 美由紀はオーナールームであのときのことを思い出して、一人微笑んでいた。彼女にとっていずるは自分を導いてくれた、かけがいのない存在なのだ。 (だから私はあのひとと同じ場所まで駆け上がって、自分の本当の気持ちを伝えたいのです。そのためにも、まずは経験をつまないといけませんね) ヘッドセットのマイクから、美由紀はパートナーであるシラユキに指示を出す。 「シラユキ、貴方の得意技、見せて御覧なさい」 シラユキはそれを待ちかねていたかのように、それに答える。 『了解、マイマスター!!』 そして、対戦相手であるリリィの下へと向かっていった。 それぞれの思い、それぞれの願い…。今はそれが叶わずとも、いつかは必ず成し遂げるときがくる。ふたつの物語は、今始まったばかりだ。 もどる 第二話へいくの!
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攻撃のために必要な装備。3つまで装備可能。同じ名称の武器は2つ以上同時に装備出来無い。 +XX(英語2文字) が名前の後ろにつくパーツは同じ武器でも装備出来る。 「火器」が高い射撃武器は、弾数が多く、撃ち切りリロード式。 「光学」が高い射撃武器は、弾数が少なく、一発ずつの補充式。ただし、ミサイル・ビット・ランチャー・バズーカは光学が高くても弾数は変わらず、撃ち切りリロード式。 火器機関銃と光学機関銃では光学機関銃の方が遠くまで届く(他の武器は射程が同じ)。 防具付属武器の武器装備は、実質コスト0で装備可能。この種類の装備コストが、もともと込みであるのか高コストである。 ゆえに、防具としてのみ装備するのは若干もったいない? 見た目のため? なら仕方ない。 武器種 チャージ 特徴 ナックル 攻撃力は低いが、最速の攻撃が可能。攻撃回数が多いので誘導時間が長い ダブルナイフ ナックルよりも少し遅いが、ガードされても大きな削りダメージを与えられる ドリル ○ ヒット中に攻撃ボタン連打で攻撃回数が増加。浪漫 パイルバンカー ○ 攻撃に隙が生まれるが攻撃力が高い 小剣 速さ、攻撃力のバランスがとれていて扱いやすい ロッド 小剣より遅く、攻撃力も低いが、SPゲージにもダメージを与えられる 槍 ○ リーチが長く、チャージ攻撃発動後の移動速度が速い ダブルブレード ○ 槍より攻撃速度は若干遅いが、リーチが長く攻撃範囲が広い 大剣 ○ ガードブレイクに長けている。攻撃モーションの一部にガードポイントあり 斧 ○ ガードされても大きな削りダメージを与えられる。攻撃モーションの一部にガードポイントあり ハンマー ○ 攻撃速度が遅いが、大きなダメージを与えることができる攻撃モーション全体にハイパーアーマー効果あり 投擲 射程は短いが、同時に複数の方向に投げることができる。相手のSPゲージにもダメージ 爆弾 射程は短いが、ヒットすると一定範囲に爆風が起きる。 楽器 攻撃速度が遅くリーチも短いが、相手のSPゲージに大きなダメージ。 ハンドガン 射程は短いが、ある程度の連射が可能。全体的に隙が少なく非常に使いやすい。 機関銃 弾のブレが大きいが、連射性能が高い。攻撃ボタン押しっぱなしで連射 ライフル ○ 単発でしか撃てないが、射程範囲が広く中威力 ガトリング 構えるまでに時間がかかるが、射程範囲が広く連射性能が高い。攻撃ボタン押しっぱなしで連射 ショットガン ○ 複数の弾を拡散して発射する。弾道は扇状に広がる ランチャー ○ 構えるのが遅く単発のみで弾数も少ないが、長射程かつ高威力アーンヴァル系統のレーザー砲は弾速が凄まじく早い バズーカ ○ 射程距離が長く、神姫・障害物・地面等に着弾すると爆風が起こる山なりに落下するので、高高度から撃つ程に射程が伸びる ミサイル 弾速は遅いが誘導性能が高い。発射後の隙が非常に大きい ビット 武器本体が敵の近くまで飛んでいき、射撃を行う。発射後の隙が非常に大きいこの系統の武器を装備すると、バトル時に神姫の周囲にビットが浮かぶようになる発射されたビットが神姫の周囲に戻ってくると再発射可能
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…ですから、ライドシステムの特徴は神姫と心を通わすことによって実現する究極の一体感にあります。神姫との関係はどちらかが与えるというものではなくお互いに与えあうものであるべきです。その実現例であるライドオンシステムの初お披露目の舞台に立ち会えたことに無上の喜びを感じます。神姫と人との関係は今まさに完成されたといえるでしょう。では、ここに、神姫と人との融和の象徴である第一回神姫Fバトルの開催を宣言します。人と神姫の輝かしい未来への一歩を、皆様盛大な拍手でお迎えください。 -某MMS管理機構役員によるFバトルの開会宣言。この2週間後、再三の注意にもかかわらずライドシステムの搭載を拒んだ神姫がイリーガル指定を受ける初の事例が起こった。 連続神姫ラジオ 浸食機械 3:巨獣不倒 エントランスに少ないながらも人が残っていた。ほとんどの人はうなだれて無気力だったり不安そうな表情を浮かべている。それは彼らに付きそう神姫も同じだった。中にはお互い笑みを浮かべている組み合わせもあるがそんな彼らの表情もどこかうつろに感じられた。 「皆さん、不安なんですね」 不安そうな表情で声をかけてくるプルミエと同じ感想を僕も感じた。だからこそガラス張りの喫茶スペースにどっかり居座りカツ丼をかっくらっている大きな男の人と、その傍らでジェリカンを豪快に傾けているストラーフはこの空間の中で強烈な印象を放っていた。 「うむ、腹もいっぱいになったところで、行くか」 『わかった、マスター。反撃開始だな』 立ち上がり、施設の奥に向かっていく二人に興味を引かれて僕たちは彼らの後を追うことにした。 「あのストラーフ、どこか異常があるんでしょうか、声が」 僕は頷く。彼女の声は電子ノイズがかかったようなかなり異質な声だった。そんなことを考えていると件の声が曲がり角の向こうから聞こえてくる。 「どうしてお前はマスターと一緒におるんや!!うちはマスターに捨てられたっちゅうのに!!あんなにマスターに尽くしたのに、いっぱい愛してもらったのに!」 「ふん、甘えたことを言うな。神姫がマスターに尽くすのは当然だ」 『お前はマスターにとって結局それだけの存在にしかなれなかったんだよ。ただのオモチャにしか』 「たわけが!ナマ言うなや!」 僕らが角を曲がりきったところで見たのは牙をむきだしたティグリースに切り伏せられたストラーフの姿だった。その動きはマスターなしの神姫では考えられないほど力強い。ティグリースはとどめを刺そうと刃を振り上げる。僕は… 「危ない」 と叫び飛び出した。でも、刃が振り下ろされる事はなかった。男の拳が唸り、ティグリースは壁まで吹き飛ばされて動きを止めた。 「ふん、つまらん相手だ。ハーデス、行くぞ」 『ああ、了解だマスター』 「お前達もつまらん邪魔をするなよ」 僕たちの方を見ようともせず声をかけると男は何事もなかったかのように歩き出した。ハーデスと呼ばれたストラーフもよろよろ立ち上がりついて行く。なおも彼らを追いかけようと歩みを進める僕らに吹き飛ばされたティグリースが話しかけてきた。 「今の…見た?ハハッ、あいつ…人のことさんざん言っておきながら自分だって怪我してもマスターにかまってもらえないじゃないか。お前だってオモチャだよ。くくっ、マスターに呪いあれ、神姫に恨みあれ」 不気味な言葉をつぶやき続けるティグリースをその場に残して僕は先に進む。修理する技術は僕にはないし、プルミエとこの島を出るためにも彼らが何をしようとしているのかを知ることの方が大事だからだ。彼らとは少し先の薄暗い廊下で再会した。 『電子ロックのようだな。私ではこれをクラッキングするのは無理だ』 「ふん、では仕方あるまい」 二人は筐体ルームとプレートが下がった部屋の前で話をしていたがおもむろに男は扉を殴りつけ始めた。轟音が響き、重い鉄の扉がへこむが開く様子はない。 「おいおい、一体何をやってるんだあいつは」 「どうやらライドオン筐体のところに行きたいらしいですわね。それにしても無茶苦茶ですわ」 突然後ろから声が聞こえた。僕が驚いて振り返るとそこには犀型神姫ディアドラをつれた男が立っていた。 「でも現状で最も有効そうな手ですわね」 「だな。ルート、お前あの扉破れるか?」 「難しいですわね」 ディアドラが肩をすくめて答える 「マスターに増設していただいた管制機器のメモリをすべて使えば失敗する方が難しいですわ」 「上等、それじゃあ行くか」 二人が男の方に歩いていく。何事か短く話した後ルートと呼ばれた神姫がケーブルを伸ばし扉のコンソールに接続した。少し迷ったが僕は彼らに声をかけることにした。 「何をしているのかだと?」 ハーデスのマスターが答える 「決まってるさ」 ルートのマスターがにやりと笑って振り向く 「俺たちはライド筐体を確保して神姫ライドする」 「そうすればルート達は全力で戦えるようになる」 『あのいけ好かないコンパニオン神姫は人の来るところにいてやる義理はないとほざいた』 「つまり現状あいつの元にたどり着ける可能性があるのはあたし達神姫だけ」 プルミエがあっと声を上げる 「もちろんライド筐体もあいつらの手に落ちている可能性はあるさ」 「だが成功すればハーデスと共に奴らをたたきのめす事ができる」 ルートの方からピンという音が聞こえた。扉が開き向こうから明かりが漏れ出す。 「つまり、俺たちは反撃にでるのさ」 次章:大地咆吼に続く:戻る